広報力をぐるっと見渡す!

広報力をぐるっと見渡す!

日記 - 2019.3.22

2019年3月19日、徳島県主催・あわ文化可能性創造事業「届ける広報ゼミ」が今年度最終回を迎えた。

ゆっくり進めてきたつもりだったけれど、この7ヶ月間で、参加団体の皆さんはどんどん活動の幅を広げられてきた。

広報ゼミをしてみて、どうだった?

設立初年度のとある団体が「わたし達の活動を地域文化として認知してほしい」と企画した地元公演では、小さな港町で300人の町民が観覧に来るという大成功を収めた。手づくりチラシのデザインや文章が制作プロセスでどんどん洗練されていくようすは圧巻だったし、公演前の広報施策は完璧だったと思う。すごい。

「歴史が長く、関係者も多く、新しいことになかなか着手できない」と悩んでいたNPO法人の方は、ある日、理事長を口説いて一緒にゼミに参加してくださった。それがきっかけで、長年の課題であった法人ウェブサイトのリニューアルや、周年事業に着手できる流れが生まれたそうだ。

「しっかり手間をかけた広報物は、ちゃんと伝わり、成果が出ることがわかった」と振り返る施設運営団体の方は、次年度の企画数を減らして一回ごとの広報を丁寧に進めることを決められた。

他にも、県庁の別部門の方が広報の相談にいらしたり、地域の財団の方が企画と広報の関連性に目覚めたり、学校教諭の方が授業のヒントを得たと喜ばれるなど、「動きはじめた」場面にたくさん立ち合わせていただいた。

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広報力をぐるっと見渡すチェックシート

全5回のゼミは、参加団体の状況や反応を見ながら、県庁県民文化課・伊澤さんと、各回ごとに内容を組み立ててきた。最終回となる3月は「なにかお土産になるような、ツールをつくろう」と、広報チェックシートを制作した。テーマは「広報力をぐるっと見渡す」。

ニーズに合わせて、広報の「中身をつくる」練習が多かったので、最後に改めて体制や仕組みづくりについても想いを馳せた。

ゼミでやってきたことの復習や、足りないことを補完するような目的で制作したので、そこまで網羅しきれてはいないけれど、よければ是非お試しを。PDFでダウンロード可能です。

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特製「届ける広報チェックシート」。AとBの二種類をつくってみた。

▼PDFダウンロード

20190319_届ける広報ゼミ_第5回広報力をぐるっと見渡す(2018年度徳島県あわ文化可能性創造事業) from kazue nakata

おわりに。楽しく旗を振る「実務者」として

さて、ゼミを振り返ってみて。

わたしが役柄どおりの立派な「アドバイザー」として機能していたかは……いまいち分からない。

どちらかというと「広報はちゃんとやると手応えがあって楽しい!」という空気をつくるというか、旗振り役のような立場だったように思う。そもそも自分は学術的な専門家でも業界の有名人でもなく、ひとりの小さな「実務者」だ。スマートな考え方や、トレンドの手法を教授することは苦手である。

けれど、土を耕すような地道な努力の先に、パッと芽吹く瞬間があるのを、これまでにたくさん体験してきた。広報活動のそういう楽しさや希望を伝えられていたら幸せだなぁと思う。

どちらかというと、わたしのほうが、地域性や規模に合わせてアイデアを繰り出し、試行錯誤を重ねる参加者の皆さんの姿に大変励まされた。徳島に仲間が見つかった感じで幸せな限り。

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和室での開催が多かった届ける広報ゼミ。地域の寄り合いみたいで楽しかった。

広報の悩みは、活動の悩み。そして、広報の成長は、活動の成長。

地域の文化と感性を担う、参加団体の皆さん、県庁県民文化課の皆さんの活躍を引き続き応援しています。わたしも、ひとりの実務者としてコツコツ踏ん張る日常へひとまず戻ります。

ありがとうございました!

中田一会 (なかた・かずえ)

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中田一会 (なかた・かずえ)

“機転をきかせて起点をつくる”「きてん企画室」の代表/プランナー。文化・デザイン・ものづくり分野の広報コミュニケーション活動をサポートしています。出版社やデザインカンパニーの広報PR/編集職、文化財団の中間支援兼コミュニケーション職を経て独立。

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