“見えない仕事”で努力し続ける田中さんのこと

“見えない仕事”で努力し続ける田中さんのこと

日記 - 2020.12.22

フォーデジットの田中美桜さんがすごい

こんにちは。わたしは今、株式会社フォーデジットの広報担当・田中美桜さんという人を勝手に褒めちぎって、そしてそのすごさを知ってもらうために文章を書いています。

田中さんは、もともと広告系のデザイナーとして働かれていて、2019年4月にデジタルデザインカンパニーであるフォーデジットに広報職として入社された人です。

フォーデジットは20年の歴史がある会社ですが、広報専任を設けたのはほぼ初めてとのこと。先輩のいない会社で、やり方も定まっていない新部門で、初めての職種で、田中さんは悩みながらもぐんぐんにょきにょき勉強して吸収して努力して、今ではフォーデジットのブランディングや情報発信の根幹を担われています。

で、わたしがなぜそんなに田中さんについて詳しいのかというと、2019年7月からフォーデジット広報チーム(田中さん+代表秘書も兼務されている高橋さん)の壁打ち係を担ってきたからです。

この文章は壁打ち係からのエールです

壁打ち係とは何か。それは言葉どおり、定期的に会って話して、仕事の相談に乗ったり、アイデア出しを一緒にする係です。それだけです。他には何もしていません。今までに32回の会議をしただけです。

それだけだからこそ、田中さんが何に悩んでどう工夫して、そして何をつくってきたかがよく見えています。企業の広報職は、外部から思われているよりずっと地味な仕事。そして実際の仕事内容や成果が見えにくい仕事です。

この田中さんの頑張りを言語化できるのは、ご本人を置いてはわたしだけなのではないかと思い至り、奥ゆかしい田中さんに代わって勝手に筆をとってみました。ということで褒めちぎりたいと思います。

*ちょっと捕捉:この文章を書いているきてん企画室・中田は、もともと田中さんと同じようにデザイン企業の広報担当を5年間していました。それ以前は出版社グループのIR担当もやっていました。いずれも基本的に一人担当で、未経験からのスタートです。同じ立場だったぶん、感情移入成分が多めの文章です。お許しを。

田中さんのすごいところ

1. リサーチ力(もしくは欲求)がすごい

田中さんは今年の年初に「未経験&ぼっち広報が10ヶ月でやったこと」というnote記事を公開されています。淡々とやったことを書かれているのですが、よく読むとそのリサーチ力……というかリサーチ欲求(?)に震えます。

ターゲット会社の過去5年分ほどの掲載をGoogleニュース、および日経テレコンで検索してリストアップ。それにその会社が出したプレスリリース、登壇履歴、ブログやオウンドメディア等の自社発信を並べて、メディア掲載との相関関係を調べました。これを3社分くらいやると、すごい気持ち悪いエクセルができます。公開情報を並べているだけなのですが、立派にストーカーのやつ。

引用元:「未経験&ぼっち広報が10ヶ月でやったこと」

同時にセミナーに参加しまくりました。数えたところ10ヶ月で37回…なのでほぼ週1のペースです。

引用元:「未経験&ぼっち広報が10ヶ月でやったこと」

加えて「PRプランナー資格」の勉強をします。(中略)広報という仕事に求められる役割の全体像を掴むのにとても役立ちました。8月に1次試験、11月に2次試験に合格しました。

引用元:「未経験&ぼっち広報が10ヶ月でやったこと」

田中さんすごい。行動力もすごい。基本業務をこなしながらその量はなかなかできません。

そして田中さんは調べに調べ、インターネットの片隅でふらふらしていたきてん企画室の中田にたどり着いたそうです。

田中さんからいただいた最初のお問い合わせメールはこんな内容でした。わたしの前職のことも前々職のこともよく調べている……それこそ、見えない仕事のことを気づいてくれた人がいる! と、嬉しくなったのを覚えています。

自社プロダクトがあるわけではない企業広報で、 メディアアプローチを主軸に活動することに疑問を感じ始めました。私個人としては、自社メディアの更新やイベントへの登壇など、 自社から発信する言葉を増やすことが、現状の課題ではないかと考えています。

そこで、toCでの活動が見えにくく、価値を伝えるのが大変難しい企業団体で広報を担当されていた中田様に、ぜひご指導をいただけないかと考えました。 現在パートナー契約は募集されていないとのことですが、何らかの形でご相談をすることは可能でしょうか?

(田中さんからの最初のお問い合わせメール)

2. 計画をたてる力がすごい

その後、わたしは田中さんの凄まじいインプットとアウトプットを定例会議で見守ることになります。

先程も引用した記事の中で、田中さんはご自身が広報戦略・スケジュール・予算立案に10ヵ月かけたことについて、「遅い!」と評されているのですが、そんなことありません。だって未経験者で、会社の中では誰もやったことがない仕事です。十分だと思います。

実際、もともと数字も得意で図解もできる田中さん(美大卒業生には珍しいタイプでは。わたしも美大卒の広報ですがからきしだめ)は、ここでは公開できませんがかなり緻密な計画を立てます。と、同時に、何か違うと思ったら軌道修正も早い。

わたしは「こんな計画の描き方が!」と勉強させてもらいつつ、経験者としての勘で運用上躓きそうなところを指摘したり、優先順位の整理をお手伝いしたりしていました。

3. フォーマットや仕組みに落とす力がすごい

計画を立てたら実行あるのみ。

自社サイトリニューアル、Wantedly(採用のための発信プラットフォーム)用のコンテンツ作成、インナーコミュニケーションの整理、noteアカウントの立ち上げと運用、SNSの定期更新……とやることは盛りだくさんです。

それをいかに効率的かつ効果的にこなすかが田中さんの次なるクリエイティビティ発揮ポイントでした。各種管理ツールの導入はもちろんのこと、SNSやプラットフォーム原稿用のGoogleドキュメントフォーマットを発明したときにはびっくりしました。

Googleドキュメントの見た目をFacebookやnote、Wantedlyそっくりに設定しているものなんですが、意外と面倒で誰もやってなかったと思います。ウェブコンテンツは同じ内容でも見た目で印象が変わるのでこれはとても便利!

田中さんは元デザイナーの技能の活かし方もすごかった。

4. 悩みかたが的確ですごい

そんなふうに、リサーチ力も実行力も計画力もデザイン力もある田中さんですが、悩みかたが的確なところも尊敬しています。

自分の苦手なところ、やりたいけど手が出ないところ、時流を見て心配だと思うところ、他社のよいところで真似できないところ。そういう物事を見つけては、常に悩んでいました。

外部発信をするために必要な社内コミュニケーションの課題、コロナ禍においての企業としての姿勢、自社のキャラクターや代表のこだわりを活かしつつ今どきの情報発信にすり合わせる方法……これまでの会議でたくさんのことを一緒に話し合ってきました。

田中さんは悩みすぎて時間を無駄にしたりはしませんが(わたしはよくやります……)、安易な回答やテンプレート的な方法に逃げることもしません。

広報の最大の役割は、組織の倫理観を(一部でも)担うことだとわたしは考えています。まさにその役割が似合う方だなあと感じています。

この人をデザイナーから広報に転向させたフォーデジット マネージャーの方々もまたすごいですね。

5. ちゃんとやりきるところが一番すごい

さて、だいぶ勝手に褒めちぎらせていただきましたが、まだ褒めます。田中さんが一番すごいのは、ちゃんとやりきることだと思います。

しっかり計画をつくって、実行するための仕組みをつくって。そして施策をコツコツと実行する。それだけのことがいかに大変か。経験者である自分は身に沁みています。

たとえばフォーデジットでは2020年10月にコーポレートサイトのリニューアルをしたのですが、そこに載せる事例記事を新たに15本も一気につくったのは田中さんです。大事なコンテンツですが、多くの制作系企業がなかなか手が回らない部分。具体的な仕事内容が見えるようになって、すごくいいコーポレートサイトになったなあと感動しました。

しかも、田中さんは品質にこだわります。壁打ち会議の議事録を見返すと、「クオリティをもっと上げたい」というコメントが随所に残っています。

飽くなき向上心も、すごい。

豊かな広報活動の裏側には田中さんのような人がいる

以上、田中さんのすごいところでした。

世の中の潮流を見極めつつ、自社の価値について考え、創造的な企画から地道な作業までコツコツ積み上げていく田中さんのような方はきっと他にもいらっしゃいます。日本全国の田中さん(のような人)に敬意を評したいです。

そして田中さんはデザイナーと広報の両方の技術を組み合わせているところも大変すてきです。詳しくは書ききれなかったですが、あらゆるコンテンツのビジュアルづくりは田中さんがしっかりディレクションされています。

これからはますます論理的な計画と感性的なアプローチの両方を操れる広報職の方が活躍されるだろうなと思う今日このごろ。

壁打ち係を卒業して

さて、そんなフォーデジット広報チーム達との壁打ち会議ですが、実はこの2020年12月を持って終了することになりました。とても寂しいですが、その記念にこの記事を書かせていただきました。

終了の理由はきてん企画室の業務変更です。

きてん企画室の中田は、広報コミュニケーション分野のお手伝いをする企画業務以外に、2021年から新たな展開をしていこうとしています。そのために現在、これまでのお仕事をぎゅっと絞って、新しいことをはじめるための準備を進めています。

田中さんにもご迷惑をおかけして恐縮だったのですが、「むしろ好きなドラマのシーズン2がはじまるみたいでわくわくします! 応援しています!」と最高の送り出しの言葉をいただきました。本当にありがたいかぎりです。

わたしもまた、田中さんやフォーデジットの新たなシーズンを楽しみにしています。これからも応援しています!

という、私信のような日記でした。ではではまた。

中田一会 (なかた・かずえ)

Text by

中田一会 (なかた・かずえ)

“機転をきかせて起点をつくる”「きてん企画室」の代表/プランナー。文化・デザイン・ものづくり分野の広報コミュニケーション活動をサポートしています。出版社やデザインカンパニーの広報PR/編集職、文化財団の中間支援兼コミュニケーション職を経て独立。

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