「俗っぽい理由で開業しちゃった……みたいな人の方が案外うまくいくもんですよ。いいじゃないですか! いいと思いますよ! がはは」
と、串カツ屋で豪快に笑い、わたしに勇気をくれたのは、経営マネジメントの会社を営むFさん。彼自身の開業当初を聞いてみたら「いやぁ、暇すぎて奥さんと毎日キャッチボールしてて、めっちゃ速い球投げられるようになったんですよ! がはは」と笑う。なんだそりゃ! 釣られて爆笑してしまった。優しくて、面白い人だ。
そんな愉快なFさんや、Fさんを紹介してくれた別の経営者で遊び仲間のMさんの力添えもあり、2018年4月1日、この「きてん企画室」という名の広報コミュニケーション事務所が立ち上がった。
ということで、みなさん、はじめまして。きてん企画室の中田と申します。
さて、FさんとMさんにこっそり打ち明けたように、わたしがこのたび独立した理由は……恥ずかしいほど俗っぽい。恥ずかしいから書かないけど、これまで約10年、インハウス広報(いわゆる「中の人」)であることを大切にしてきた人間が口にするには拍子抜けもいいところ。だから本来、広報的には「志」から始めるべき開業1本目のこのブログ投稿も、格好つけないことにする。だって起点が起点だし。
そして(強引にこじつけると!)、このきてん企画室の仕事で提供したいのは、そういう始め方の設計だ。
あらゆる人と、無理のない広報コミュニケーションの形を一緒に考えたい。組織やプロジェクト、プロダクト、その周りで働く人たちが、軋みなく生き生きと社会に接し続けるための「ことば」と「態度」の設計、そして、その伴走をしたい。
インターネット普及以降、情報やイメージの猛烈な消費サイクルに追いつこうと、多くの人が汗している。でも本当に、すべての物・事・人にバズやフォトジェニックさが必要だろうか? 伝わりやすさは大切だけど、伝わりすぎる(=消費の速い)ことばとイメージには注意が必要だ。成長のための背伸びは素敵だけど、宙に浮いていては怪我をする。
だから「起点」が大切だと思う。ちゃんと働く当事者がお腹から声を出し、その事業で何をしたいか、そもそもの始まりはどこにあるのか、どうコミュニケーションを始めるのか。そういった一つひとつにいちいち向き合いながら、伝える活動をつくるべきだと思う。
ことばづくりから情報発信、ステークホルダーとの対話、内部のコミュニケーションまで、起点を大切にしながらひろく目配せできると、すーっと気持ちよく「やりたいこと」にたどり着く。そういうものだと、わたしは信じている。
きてん企画室が約束するのは、「ちゃんと球を投げる」こと。それっぽい手法やことばを組み合わせ、手首で球を投げるような仕事はしない。その代わり、お付き合いいただくお客様にも、しっかり全身で球を投げてもらうようお願いする。だってコミュニケーションとは、キャッチボールだから。(ってすごいベタですね)
……などと、野球にまったく詳しくないのに想像で書いてしまったので、今度Fさんに速い球を投げる秘訣を聞いてみようと思う。
あらためて。広報コミュニケーションに特化した個人事務所をはじめました。その名前を「きてん企画室」と言います。どうぞよろしくお願いします。
きてん企画室主宰・中田一会