きてんは、問いかけ。

きてんは、問いかけ。

日記 - 2018.4.10

きてん企画室開業から10日。

おかげさまで、今まで一緒に仕事をしてきた方や接点のある方から声がけいただき、都内各所を巡る日々。

半年前、田舎の父が「あなたの仕事は、いったい誰が何を頼み、何を渡してお金になるの? …独立して大丈夫なの?」と心配していたけど、とりあえず滑り出しは大丈夫…かな。

きてん企画室では、「インハウス広報」や「プログラムオフィサー」として、わたしがいままで組織の中で提供してきたことを、個人として動ける単位に整理して開いている。それは例えば、勤務医が開業医になることに近い…のかも。なので「起業」よりは「開業」という感じ。

面白いのは、「広報」を名乗っていても、「メディアに売り込みたい」「バズをつくりたい」「とにかくブランディングしたい」といった相談が一件もないこと!(そこを期待されないわたしもどうなんだ…いや、不得意だけど)

むしろ「組織内のコミュニケーションをもっと良くしたい」とか、「メンバーの働く気持ちを向上させていきたい」「手広く展開してきた事業を、ミッションから説明できるようになりたい」「次のステップに進むためのコンセプトづくりをサポートしてほしい」などが多い。とても広い意味での「コミュニケーション」に関わる相談が続々やってくる。一緒に悩みつつ、あの手この手でいとぐちを探すことが楽しい。

ある日は、「スタッフの働く意識を改善する仕組みを上層部に期待されてるけど、それって違う気がしない?」という問いかけがやってきた。そしてうーんと悩み、「システムじゃなくて、カルチャーならつくれるのでは?」という仮説にたどり着いた。ルート取りの最適解を教え込む仕組みをつくったところで、その組織が悩んでいる「自発性が足りない」問題は解決しない。でも、「自分の意見を大切にし、きちんと発言する」とか、「しっかり考える時間を尊重する」「異なる意見に耳を貸す」といった行動を促す「組織文化」を育む企みならできそうだ。それはきっととても時間がかかるけど、本質的成果につながるはず。

また、ある時は、とある経営者の方が「僕はね、凡人の集まりで非凡なことができる組織にしたいんです」とおっしゃった。「だってスーパーマンが一人いれば凄いことができるのは当たり前だから。でも会社をやっている意味ってそういうことじゃないと思うんです。すごく普通の人が集まることで、一人じゃできないことを増やさないと」と。それには本当に感動した。「非凡なこと」のひとつとして、その会社らしくて工夫に満ちた情報発信を、今いるスタッフみんなでできるようになりたいという。外から見る限り十分できているように思いつつも、それだったら、アレはコレは…とアイデアを出しつつ相談している。

きてん企画室のコンセプトは、“機転をきかせて、起点をつくる”。

だけど、そもそも「良い機転」をひねり出すためには「起点」としての「良い問いかけ」が必要なんだ! …と、気づいた開業10日目。

そしてその「良い問いかけ」は、プロジェクトやチームを良くしたい、コミュニケーションから変えていきたいと真剣に悩むリーダーが抱えているもの。その情熱的な悩みに引き寄せられるたび、わたしは心底わくわくしながら(全然土地勘のない業種だったりもするのだけれど)、過ごさせてもらっている。なんてありがたいことだろう。

とはいえ今は、量より質の時期。なので一つひとつ、丁寧に伺わないと。あとそれぞれに「成果物/納品物」をいかに組み込むか…の設計はまだまだ悩ましい。

あるようで(たぶんそこまで)無い、広報コミュニケーションの「伴走」という仕事。

わたし自身もさまざまな人に相談しつつ、フィードバックをいただきつつ、一歩一歩、歩みを進めていきたい。頑張ろう、頑張ろう。

*写真は特に意味がなく…カマボコ美味しかったなぁ、という一枚。