文章執筆における基本のひとつに、“読みやすさを考えて句読点を打つ”ということがよく言われます。つまり、ほどほどで区切るということです。
広報コミュニケーション活動における「定例会議」も、この句読点の役割があるんじゃないかなと思います。
「どうしたら自社サイトの運用が続きますか?」「コンテンツ企画が滞りがちで悩んでます」「情報発信で成果を出したい」という相談をいただいたときには、「定例会議、やってますか?」と、まず聞くようにしています。
小さな組織でもコミュニケーション活動を分業していることは意外と多いもの。企画や事業ごとにSNSアカウントの担当者を分けていたり、広報PR担当とウェブ運用担当と顧客窓口がバラバラだったり。
そういうメンバーが定期的に集まって、お互いの進捗や指標を確認しつつ、日頃の仕事で気づいたことや気になったことを共有できるのが「定例会議」のいいところ。
この「決まった時間に集まって決まった項目を指差し確認する」ことは、仕事の目的に意識を向けるいい機会にもなるはずです。(もちろん、無駄な時間にならないよう、準備する資料や議事録の形式はシンプルにしておくことが大切!)
広報コミュニケーション活動がルーティンワークだということは意外と認識されていません。
もちろん、相手によって時期によって内容によってやることは変化しますし、山場もあったりしますが、俯瞰で見れば繰り返しの仕事です。組織や事業が続く限り、途切れることのない(≒途切れさせたらまずい)活動。それが広報コミュニケーション活動です。(広告キャンペーンや戦略PRと違うのもそのあたり)
だからこそ、仕事の実態や手応えが見えにくいんです。それならば、長文を区切るがごとく句読点を打つ(=定例会議を開く)のが良いのではないかなと考えている次第です。
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ところで先日、福井県で立ち上がったばかりの地域商社の勉強会にお招きいただきました。
そのときに「今日は偉い人と現場担当の両方が出席します!」と聞いたので、強調してお話ししたのが「広報はルーティンワークです。続けることが何より大切なんです」という点でした。
メディアに出たいという希望は痛いほどわかります。SNSでバズ的にワッと話題になりたいという気持ちもわかります。
でもそれ以前に、活動にとって大切な相手(お客様、関係者、応援してくれる人)と定期的にコミュニケーションをとること、その矢面に立って良いことも悪いことも共有する情報のハブになることが広報コミュニケーション担当者の役割です。
それ抜きに一瞬だけ話題になっても……続きは想像できますよね。
こういった仕事の基本的位置付けを、事業責任者と広報担当者で握っている組織はとても強いなぁと感じます。(と、いうことで、福井の皆さんとは今後も一緒に定例会議を開くことになりました)
さて、話題は定例会議に戻って。
人間とは元来怠け者です。あと、褒められないと頑張れません。
だから定例会議でピアプレッシャーをかけつつ、「誰かが見ててくれる」「小さな成功を報告する先がある」「反省を聞いてくれる相手がいる」状況をつくることでモチベーションもあがる、はず。
敵は孤独とマンネリです。
集まることで孤独を慰めつつ、日々の気づきから新しいアイデアや視点を洗い出す。そんな定例会議が広報コミュニケーション活動にとって、とっても大事だなと思う今日このごろです。
がんばろう、定例会議。
*追伸:最近、他社の定例会議に参加する仕事が増えてきました。期待されているのは専門家としてのアドバイスというより、外からやってきて句読点を打つ役なんだろうなと思って書いてみました。
[ Illustration by Atsushi Toyama ]
Text by
“機転をきかせて起点をつくる”「きてん企画室」の代表/プランナー。文化・デザイン・ものづくり分野の広報コミュニケーション活動をサポートしています。出版社やデザインカンパニーの広報PR/編集職、文化財団の中間支援兼コミュニケーション職を経て独立。