トークイベント運営で、ゲストと共有するべき12のこと

トークイベント運営で、ゲストと共有するべき12のこと

日記 - 2020.1.31

こんにちは。タイトルどおりの中身でお届けします。基本的だけど、とっても大切なこと(大切にしていること)のメモ。

きてん企画室の場合、広報講座やワークショップのゲスト講師を担当することも、トークイベントやセミナーの企画運営者を務めることもあります。何よりもともと企業広報なので、経営者やスタッフの登壇調整を毎日のように担当してきました。

つまり、トーク型イベントに呼ばれる側も呼ぶ側もどちらも仕事にしています。

ということで、今までの経験から「これは大切!」と思ったこと、「ここだけは絶対共有して! 困る!」と感じたことを、運営側に立つ際には必ず盛り込むようにしています。そのチェックリスト的なものをちょっとまとめてみました。

1. 登壇依頼時に共有すること

☑ 企画の位置付けと依頼条件(拘束時間・謝金)

そのイベントが、どんな主催者のどんな目的のもと運営されるのかはとても大切な情報です。ゲストが依頼を受けるかどうかの判断の基準になるので、必ず明らかにします。来場者が払う参加費の有無や、会場規模も添えます。

なにより、拘束時間と謝金は最初に伝えます。登壇するにあたっては、当日の時間だけでなく、準備の時間もたくさんいただくことになります。その配慮を具体的な条件で見せることは(たとえ金額が少なくとも)とても大切。

☑ その人である理由と他のゲストについて

講演やトークの専門家を除いては、どんな経験値のある人でも「わたしでいいの?」から始まります。どうしてこの企画にその人なのか、その理由をまず丁寧に説明して「お願いしたい」気持ちをまず伝えます。

あと、ときどき複数名のゲストを呼ぶカンファレンスやトークイベントがありますが、その場合は、他ゲストの顔ぶれ、組み合わせの理由、それぞれに期待している役割……を明確にするのもポイント。

☑ 参加者の具体的な像とニーズ

いったい誰が、何を期待して聴きにくるイベントなのか。これがないと話す側の用意が進みません。内容がずれてしまってお互い(ゲスト・参加者・主催者)の不幸を生まないためにも、とにかくこれを丁寧に共有するようにしています。その上でどんなお話をゲストにしていただくのか相談できるとベスト。

2.イベント準備期間に共有すること

☑ 集客状況

案外抜けてしまいがちですが、ゲストに向けて集客状況(現在どのぐらい申し込みがあるか、どんな人が申し込んでいるのか)を定期的に共有することも大切です。集客が振るわないときは施策の予定もお伝えし、告知に協力いただくことも。

☑ 講演骨子への(正直な)フィードバック

開催までにお話しいただく内容の資料やアウトラインをいただく場合は、必ず正直にフィードバックします。テーマが予定していたものと合っているか、想定される来場者の方が聞きたいことが盛り込まれているか。ゲストをお呼びした際にお願いしたかったポイントを押さえられているか。良いところも気になるところもお伝えすることでチューニングできます。

逆にもしゲストから「その話はちょっとできない」「こっちの話がしたい」などの返答があれば、企画骨子と照らし合わせて、他のパートやオープニングのご案内で調整がきかないかも検討します。

☑ 企画に寄せられている期待内容

告知時の申し込みフォームに、イベントに期待することやゲストに聞きたいことの欄を設けた場合、その内容を共有することも大切。どんな人が来るのか、どの要素を話に盛り込むのかのヒントになるからです。

3. イベント当日に共有すること

☑ 当日の流れ

イベントの運営側は何度もシミュレーションしているので伝えたつもりになりがちですが、「当日の流れ」という一番ベーシックな情報は丁寧に共有しましょう。いつ壇上に上がるのか。ゲストの話の前後には何があるのか。持ち時間は何分か。時間が押した場合はどうするのか。来場者の質問の受け方や、終了後の流れはどうなのか。ゲストのコンディションを探りつつ、安心してお話しいただくための当日ブリーフィングを大切にしましょう。

☑ 来場者の属性

事前申し込みを受け付けた場合は、来場者のリストのほか、属性のざっとした概要を共有できるとゲストも安心します。その道の専門家が集まっているのか、もっと広い関心事からやってきているのか、もしかしたら知り合いがいないか……。ゲストが最も気になるのは聴衆のリアクション。どんな人がいるかお伝えしましょう。

☑ 困った時のフォロー体制

どんなに準備を重ねてもイベントにアクシデントはつきもの。機器トラブルもあれば、進行上の困ったことも起きます。そういうとき、誰に目配せすれば動いてくれるのか、誰からフォローしてもらえるのか。イベント前には運営チームや体制も紹介して、少しでも安心してもらえる状況をつくりましょう。

4. もっとも大切な…イベント後に共有する3つのこと

☑ 来場者からのフィードバック

無事にイベントが終わった後、とにかく速くできるといいのが来場者からのフィードバックを共有することです。アンケートをとっているならスキャンや書き起こしをお渡しできるといいでしょう。

たくさん悩んで、準備して、話した結果が誰の役にたったのか。どこをポイントと捉えられたのか。ゲストが知りたいリアクションを即座にお伝えすることは来場者との間に立つ企画者の大切な仕事です。

☑  運営者としての感想

そして、運営側からの感想や感謝の気持ちも必ずすぐにお伝えしましょう。特にアンケートに書かれなかったことや、書かれたことで抜け漏れ・誤解があるようだったら、その点もフォローすることを忘れずに。

後日談や直接きいた感想などもゲストにとっては嬉しいフィードバックです。

☑ 事務の流れ

最後にとても地味ですが、支払い(請求書の発行、振り込みタイミング)やレポート記事の確認など、事務的な事柄までサポートするのも忘れずに。イベントは終わった後が要だと思います。

企画運営を担当した「東京アートポイント計画 ジムジム会」。小規模勉強会だとしてももちろん、ゲストコミュニケーションにはさいしんの注意を払ってます。 [ 写真提供:アーツカウンシル東京/撮影:加藤甫 ]

まとめ:「安心」と「よかった」を渡せるように

以上、きてん企画室的チェックリストでした。

大切なのは、貴重な時間をつかって準備し、お話ししてくれるゲストに対して、「安心」と「やってよかった」の両方を渡すことかなと思っています。

そしてそれは、来場された方の満足にも強く結びつくはず。

他の運営者はどうされているのかしら? 意外とありそうで知られていないイベント運営のノウハウ、他の方のバージョンも聞いてみたいなあと思い、は自分で書いてみた次第です。

ではでは、また。

*追伸:昨年ゲストとして企画講座にお越しいただいた、認定NPO法人D×Pの入谷佐知さんに嬉しいnoteを書いていただいたので、ちょっとまとめてみました。こちらの記事も勉強になります!

[ Illustration by Atsushi Toyama ]

中田一会 (なかた・かずえ)

Text by

中田一会 (なかた・かずえ)

“機転をきかせて起点をつくる”「きてん企画室」の代表/プランナー。文化・デザイン・ものづくり分野の広報コミュニケーション活動をサポートしています。出版社やデザインカンパニーの広報PR/編集職、文化財団の中間支援兼コミュニケーション職を経て独立。

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