こわさを忘れない

こわさを忘れない

日記 - 2017.3.7

実のところ、名前と顔を出して言葉をのこすことはこわいことで、カメラのレンズを誰かに向けることも凄くこわいことだ、と、思います。

「いやいや、君みたいなインターネット・コンテンツ・ハレンチ※な人が何を言う!」と指を差されて怒られそうだし、わたしは中級程度にはハレンチな部類だし、そんなハレンチさも許される世の中になってきた気もするけれど。(※ナカタの造語)ともあれ、こわいです。こわいと今でも思っています。

これまで、「SNS運用で最初にするべきことは?」という質問に対して、「誰でも上手に撮れるいいカメラとレンズを買うことですね!」と、よく真顔で答えてきました。でも、半分本当で、半分嘘です。それだけではいいコンテンツなんて生まれません。大事なのは残りの半分で、「伝えたい対象と良い関係を築くこと」。

すっごくいいレンズですっごくいい構図ですっごく格好良い写真が撮れたとしても、人が苦手な撮影者や、関係性のよろしくない現場はすぐわかります。距離が遠いし対象の表情が固い。フォトグラフィ(=作品)の世界ならそれは全く問題ないけれど、コミュニケーション・コンテンツの素材だとしたら考えたいところ。特に、SNS時代は見る人も敏感です。

3ヶ月前、はじめて今の職場のメンバーで集合写真を撮りました。採用記事のためという目的があっても、「撮りましょうよ!」と切り出すのは、とてもどきどきしました。言い出すときに、変な汗もかきました。全くそういうカルチャーのない場所だし、表舞台にたつ職種でもないので。

そして、この時うまくいったことに味をしめ、よくカメラをぶら下げて歩くように。最近では自然な感じで記録して、発信に活かせています。ありがたい! コミュニケーション担当として美味しい! でも、ここに至るまでの時間、実に2年弱。ちなみに、チームより外側のステークホルダーには、ほとんどレンズを向けていません。わたし自身がそこまで関係を築けていない自覚があるのと、組織とステークホルダーの間に横たわる力学を理解しているからです。一歩間違えると暴力的になってしまう、それはだめ。

ということで、すごいコンテンツ・ハレンチっぽく見えるでしょうし、実際中級程度にはコンテンツ・ハレンチですが(サビ)、コミュニケーション・コンテンツをつくるためには、コンテンツ以前に人と人のコミュニケーションが大事なんだ、ということを、声を、大にして、言いたくて、今夜は筆をとりました。

あと、たくさん対話を重ねて、ちゃんと信じているものを言語化しよう、とも、言いたいです。

あ。ここまで書いてきて、以前も同じようなことを書いていたことに気づきました……どんだけこわがりなのか。

以上、まとめとしては、ハレンチはハレンチでもこわがりなハレンチでいたい、でした(?)

今夜はここまで。おやすみなさい!

中田一会 (なかた・かずえ)

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中田一会 (なかた・かずえ)

“機転をきかせて起点をつくる”「きてん企画室」の代表/プランナー。文化・デザイン・ものづくり分野の広報コミュニケーション活動をサポートしています。出版社やデザインカンパニーの広報PR/編集職、文化財団の中間支援兼コミュニケーション職を経て独立。

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