ヤギに手紙を届けるには?

ヤギに手紙を届けるには?

日記 - 2016.7.26

*本記事はアーツカウンシル東京在職時に執筆していたMedium Magazine「ヤギに手紙を届ける」から転載しました。

しろやぎさんから おてがみついた くろやぎさんたら よまずにたべた
しかたがないので おてがみかいた さっきのてがみの ごようじなぁに

くろやぎさんから おてがみついた しろやぎさんたら よまずにたべた
しかたがないので おてがみかいた さっきのてがみの ごようじなぁに

ご存知、詩人のまど・みちおさんによる童謡『やぎさんゆうびん』の歌詞です。

いつまでも用件がわからないまま、2匹のヤギの不思議な文通が続く、のどかでちょっとシュールな世界観。わたしはこどもの頃からこの童謡が大好きでした。

…なのですが、この歌詞に(職業的に)真面目に向き合ってみると、そこには気になる問いが浮かんできます。

結局、ヤギさんに用件を伝えるにはどうしたらいいの?

しろやぎさんの最初の手紙がとても大事な用事だったとして、これをちゃんとお知らせするには、どんな方法があったのでしょう?

・ヤギのお腹が空いる時間を避けて届けるべきだった?
・紙以外の素材に書いたらヤギも食べなかったかも?
・誰かに伝言を頼む手もあったのでは?
・いっそ食べたら思いが伝わる味の紙を使うのもいいかも!

……などなど、色々な方法がありそうです。

そして、人間同士のコミュニケーションだって、同じ。相手の状況や気持ち、性格、受け取り方を想像し、それに合わせた届け方のデザインが必要です。

わたしの職業である「コミュニケーション・デザイン」とは、まさに「ヤギに手紙を届ける仕事」なのだなあ、と、ある日思いました。

ヤギに手紙を届ける
(しかたがないからおてがみかいた…?)

「ヤギに手紙を届ける」はじめました。

ということで、大変僭越ながら、まど・みちおさんが生み出した二匹のヤギの物語にヒントを得て、自分のMedium Publication(ブログ的なもの)のタイトルを「ヤギに手紙を届ける」とつけました。*

これから2匹の白黒ヤギさんと、届けること、対話することに向き合いつつ、思考を重ねていきたいと思います。

*「ヤギに手紙を届ける」は「きてん企画室」のウェブサイトに統合されました。(2020年6月20日追記)

*かわいいヤギのイラストレーションについて

可愛いヤギのイラストレーションは、イラストレーターで映像作家でもある野中聡紀さんの作。「ヤギに手紙」用に書き下ろしてくれました。嬉しい。どうぞこれからヤギともどもよろしくお願いします。

あと、「ヤギに手紙といえば!」と小林大吾さんの楽曲を友人から紹介してもらいました。素敵〜! ブログとは関係ないですがオススメです。

中田一会 (なかた・かずえ)

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中田一会 (なかた・かずえ)

“機転をきかせて起点をつくる”「きてん企画室」の代表/プランナー。文化・デザイン・ものづくり分野の広報コミュニケーション活動をサポートしています。出版社やデザインカンパニーの広報PR/編集職、文化財団の中間支援兼コミュニケーション職を経て独立。

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