“伝わらないスライド”への処方箋

“伝わらないスライド”への処方箋

日記 - 2020.3.18

ようこそ、きてん企画室の反省部屋へ。きょうは本当にあった反省案件をお届けします。

*本記事は、noteで公開中のエントリ「伝わらないスライドへの処方箋(デザインのあしらいに気をつけよう)」を転載しました。

初のコンペ参加…だが、しかし!

先日、会社として初めて企画コンペに参加しました。コンペ! プレゼン! 社長っぽい!(?)と、前向きな気持ちで準備を進め、そして途中で気づいたのです。

「わたし、提案用の資料づくり、すごく下手かもしれない」と。

正直にいうと、最初は自信があったんです。レクチャーや講座を担当する仕事が多いので、スライドはつくりなれているぞ、と。

だがしかし、レクチャーとコンペのプレゼンはまったく別物。手を動かしはじめてからそのことに気づきました。

伝わらないスライド……その理由は?

企画はできていても、提案資料での表し方がわからない。スライドをつくりこめばつくりこむほど「何かが微妙」と悩んでしまう。情報を置くだけでは伝わらない感じはいったい何なんだ……。

そこで、オフィスのシェアメイトでもあり、プロジェクトパートナーでもあるShhh Inc.の重松さんに泣きつきました。

そんな重松先生の第一声がこちら。

……嗚呼!!

その後、大変丁寧かつストレートなフィードバックを重松さんから受け取って気づきました。問題は、視覚情報として伝わらないことなんだ! と。

内容と「あしらい」がずれると伝わらない

「赤色は注意喚起」「太字は強調」など、デザインの「要素」や「あしらい」にはそれぞれ意味があります。わたしの資料がなんだか微妙だったのは、それらを無闇に多用したり、逆の意味で使っていたから。

不安な気持ちを誤魔化すために「矢印とかアイコンとかあったほうがそれっぽいかな」などという、浅はかな下心で余計なあしらいを加えてしまう。そう、それが迷走の原因でした。

スライドデザインの改善リスト8

ということで、第1稿・第2稿あわせて約30件の改善リストを重松さんから受け取りました。本当に優しい! ありがたい!

この知恵をきてん企画室の中だけに留めておくのは、重松さんの無駄遣いにもほどがあるので、要点を公開したいと思います。

では、どうぞ。

1.  ダブルクォーテーション(“”)は「引用やセリフ」で使う

タイトルスライドでダブルクォーテーションを使っていたのでとりました。ストック素材の濫用、ダメ絶対……。

2.  囲み線は「集中させる」ために使う

もともとタイトル文字しか要素がない中扉に囲み線は不要。外しました。

3. アイコンは内容に合ったものを選ぶ

電球アイコンは「ひらめき」「啓蒙(エンライトメント)」を表す。内容に沿わないのでとりました。

4. グレーアウトは「不足や未定」を表す

色をグレーに落とす(グレーアウト)は「足りない」「得られない」など「不足や未定」を表します。使いどころが間違っていたので内容に合わせて修正しました。

5. 矢印の使い方に注意!

矢印は意味性の強いアイコン。「時間の経過」に使いたいのか「ドリルダウン」に使いたいのか明確に。

6.  要素の関係性をはっきりさせる

Beforeの方、要素が散っていってよくわからないですね。整えました。

7. 同じ種類の情報は、あしらいも揃える

同じナンバーを表すなら、丸か四角のどちらかに合わす。

8. 目次やページナンバーはあると親切

相手にとってわかりやすくは基本のきですね……失礼しました!

飾りじゃないのよ、デザインは。

以上、重松さんからのありがたいフィードバックダイジェストでした。本当にありがたい。(ちなみに実際の資料はもっと色々ひどかったのですが、恥ずかしいのでBeforeの全容は内緒です)

デザインとは視覚を通じたコミュニケーションのためのコードであり、ルールただ感覚的に装飾として扱うと「伝わらないもの」になってしまいます。

こういった基本のルールは、デザイナーではない自分も十分に気をつけないといけないし、味方にできれば心強いなあと思った次第です。

がんばろう

中田一会 (なかた・かずえ)

Text by

中田一会 (なかた・かずえ)

“機転をきかせて起点をつくる”「きてん企画室」の代表/プランナー。文化・デザイン・ものづくり分野の広報コミュニケーション活動をサポートしています。出版社やデザインカンパニーの広報PR/編集職、文化財団の中間支援兼コミュニケーション職を経て独立。

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