2019年12月に法人化し、2020年1月から本格始動。気づけば、株式会社としてのきてん企画室は活動半年を迎えました。
そんなきてん企画室に、「一緒に半年間の振り返りやらない?」と、声をかけてくれたのは、同時期に起業した会社、Shhh Inc.のおふたり。
どちらも小さな会社で、企画制作を仕事にしています。もともと毎月1回、「もくもくアーカイブデー」という合同作業日を設けていたのですが、8月は「もくもく振り返り会」を開催することになりました。今日はちょっとその日のことを書いてみます。
振り返り会の設計をしてくれたのは、Shhhのクリエイティブディレクター・重松佑さん。プロジェクトマネジメントからリサーチ、ワークショップ、ディレクションまで幅広く手掛ける重松さんらしく、美しい流れが用意されていました。さすがです……!
インタビューシートの内容はこんな感じ。売上/指標確認などの定量的な振り返りは年末にやることにしているので、今回は定性的な質問を中心に振り返ってみました。19の質問、なかなか考えさせられました。
まずは半年間のプロジェクトについて振り返りましょう
※案件に関しては守秘義務があるので、話せる範囲でのみ共有
つぎに半年間の会社運営について振り返りましょう
この先2年後くらいのことについて考えましょう
やってみてどうだったかというと……とっても面白かったです。そしてためになりました!
個別の案件に対する反省や感想はもちろんですが、そこから「大切にしたいこと」「得意だと思うこと」「誰かに助けてほしいこと」といった、仕事の上での考え方や価値観が共有できることが特にいい。特に今回は、定量的な情報をあえて外したので、思考のところに焦点をあてて議論ができました。
Shhhはふたり会社で日頃からやりとりも多いはずですが、それでも部外者(わたし)が混ざることで素朴な「これどういうこと?」が聞き出せるし、きてん企画室はひとり会社なので壁打ちできる機会そのものが貴重です。
たとえば、Shhhの振り返りを聞いていて面白かったのは、重松さんと宇都宮さんの「相性のいいキーワード」と「相性の悪いキーワード」が真逆なこと。
宇都宮さんが「プロジェクト・マネジメント、クライアント・コミュニケーション、リスクマネジメント、テクニカル・ディレクションが向かない……」と言うと、「それ全部、僕が得意なことですよ!」と返す重松さん。そして「何それ、両思いじゃないですか。最高のコンビ、うらやましい!」と賑やかすわたし。ふたりきりだと「俺たちって最高のコンビだよな」とは言えないと思うので(笑)、他愛ないやりとりも小さな会社には大切なことだったりします。
あと最近、映像撮影の勘を取り戻すべく、Instagramでテストムービーを上げるようになったという重松さんに対し、宇都宮さんが「ぜひ経費でいいカメラを買ってください」と即答していた場面が印象的でした。なおかつその後に「ただ、趣味の書籍や美術館チケット、映画鑑賞は自腹にしませんか。自分で選び、自分のお金で読む、観るってことって価値観を養う上で大切だと思うんです」と提案していたのも素敵で。
特に今回は、お金の使い方について議論もできて良かったです。会社運営の上で何を必要経費と考えるか、何を誰のための投資と考えるかは、組織の思想に関わる問題です。(ちなみに当社は、「色気のない、つまらないお金の使い方は絶対しない」が方針です)
そして、きてん企画室にとってもたくさんの発見がありました。自分がこなしている案件数や引き受け方がユニークらしいと気づいたり、本当はやりたい自主企画について言語化できたり、メンバーを増やすことについて考えたり、最近生まれた野心についてフィードバックをもらったり……。
2時間たっぷり話したのですが、充実の振り返り会でした。Shhhのおふたり、本当にありがとうございました!
会社といってもひとりきりの個人事務所。経営と呼べるほどのこともできていない。わからないことだらけで、つまずいていることすらちゃんと気づけない。
そのぐらいポンコツなところからスタートしているきてん企画室ですが、同じ時期に起業して、なおかつ異なる特技とキャラクターを持つ会社と並ぶことで、良いことにも悪いことにも気がつけます。
わたしと重松さんが元同僚だという縁で「同じ日に設立しちゃう?」とノリで揃えてしまった二社なのですが(振り返るとだいぶ軽い…)、結果的には“仲間会社”ができて幸せな次第です。
これから起業されたり法人化される方がいたら、仲間会社をつくること、オススメします! ぜひぜひ。
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“機転をきかせて起点をつくる”「きてん企画室」の代表/プランナー。文化・デザイン・ものづくり分野の広報コミュニケーション活動をサポートしています。出版社やデザインカンパニーの広報PR/編集職、文化財団の中間支援兼コミュニケーション職を経て独立。